コールセンター後処理業務(ACW)をChatGPTで手軽に自動化
更新日:1月5日
「お客様対応後に発生する“文字起こし”や“要約”に追われて、次の電話がスムーズに取れない…」
もし今、このようなお悩みがあるなら、この記事がお役に立てるかもしれません。
なぜなら、AI技術を使うことで、あなたのコールセンター運営が大幅に変わる可能性があるからです。しかも初期投資ゼロで、今日から始められる方法が存在します。
1. なぜ「後処理業務の自動化」が注目されるのか
1-1. オペレーターの負担増大
コールセンターの後処理業務と聞くと、単なる文字起こしやカテゴリ分類のように“地味な作業”を想像されるかもしれません。しかし実際は、
応対内容を正確に思い出し、テキストに起こす
クレーム・問い合わせ内容を要約する
課題点を抽出し、改善策を練る
といったように、終話後に多数の作業が残っています。しかも、これらは一つひとつが高度な認知や判断を必要とするため、オペレーターが疲弊しているケースが多いのです。
「クレーム対応ばかりで生産性が上がらない…」
「データを分析する余裕なんて全くない…」
これでは、せっかくのビジネスチャンスも逃してしまいます。
1-2. クライアントへの付加価値提供
クレームや問い合わせ内容を分析し、改善策や追加提案につなげられれば、クライアントにとっても大きなメリットがあります。しかし、分析に十分な時間を割く余裕がないため、「レポート作成だけで手一杯」というケースも少なくありません。
1-3. AI技術の進歩によるチャンス
近年のAI技術の進歩により、後処理作業の一部を自動化・効率化する道が開かれています。特に音声認識や文章生成、分類タスクといった領域では、ChatGPTなどの生成系AIを活用する動きが広がり始めています。
2. 今すぐ無料で始められる!ChatGPTを使った3ステップ
そこでおすすめしたいのが、ChatGPTを活用する方法です。ポイントは、以下の3ステップだけ。
音声データの文字起こし
要約・重要情報の抽出
カテゴリ分類・改善策の検討
Step 0. ChatGPTの用意
(ChatGPTの環境が整っている方は、Step1までスキップしてください。)
2025/01/04現在、ChatGPTでは無料枠で「ChatGPT 4o mini」が利用できます。
無料枠向けの軽量なモデルですが、今回の後処理業務削減に十分な精度を発揮します。有料アカウントを持っている方は「ChatGPT 4o」など、より高度なモデルを使用してもらってもOKです。
※注意
ChatGPTでは入力情報がモデルの学習に使用される場合があるので、個人情報などの機密性の高い情報の入力には十分注意してください。
有料アカウントを利用している場合は、入力データを保存しないオプションを選択できます。
Step 1. 音声の文字起こし
まずは音声データをテキスト化する必要があります。音声認識サービスが導入済みの場合は、そちらで文字起こしされた結果を使用しましょう。
残念ながら、ChatGPT自体に直接音声ファイルをアップロードして文字起こしする機能はありませんので、音声認識サービス未導入に場合は、外部のツールで文字起こしを行い、テキスト化する必要があります。
今回は、サンプルの問い合わせテキストを以下に用意しました。以下、これを使ってChatGPTによる後処理業務の自動化を実演していきます。
サンプルの問い合わせテキスト
Step 2. 要約・重要情報の抽出
文字起こしテキストが手に入ったら、ChatGPTにコピペするだけ。
以下のようなプロンプト(指示文)を用意して、要約や要点の抽出を依頼してみましょう。
プロンプト例(要約メイン)
以下の文字起こしを読んで、要点を箇条書きにまとめてください。顧客の要望と不満点を明確に区別し、最終的にどう対応したかも記載してください。
-----
[ここに問い合わせテキストを挿入する]
実際に入力したプロンプト
ChatGPTの出力内容
ポイント
箇条書きで要約を求めると、読みやすい出力が得られます。
「顧客の要望」「不満点」「最終対応」といったラベルを明確に指示すると、レポートにそのまま転用可能です。
プロンプト例(構造化出力)
以下の会話ログをもとに、
- 顧客背景
- 問い合わせ内容
- オペレーターが提示した解決策
- 今後の課題
- 重要度(3段階で高/中/低)
を整理してください。
-----
[ここに問い合わせテキストを挿入する]
実際に入力したプロンプト
ChatGPTの出力内容
ポイント
必要な情報項目を最初に箇条書きで指示すると、ChatGPTが該当部分を抜き出して整理してくれます。
重要度など、軽い判断を委ねることで、後の分析にも活用しやすくなります。
Step 3. カテゴリ分類
カテゴリ分類も簡単にできます。
分類先のカテゴリ構造が決まったら、以下のプロンプトで依頼してみましょう。
カテゴリ分類
以下の会話ログを読み、当社の定義する問い合わせカテゴリ
[カテゴリ構造を挿入する]
から該当するものを当てはめてください。
各カテゴリに該当する理由も簡潔に記載してください。
-----
[ここに問い合わせテキストを挿入する]
実際に入力したプロンプト
ChatGPTの出力内容
ポイント
事前に「どんなカテゴリがあるのか」をリストアップしておき、基準を明示するのがコツです。
新しい問い合わせパターンに対応できなければ、「新カテゴリの提案をお願いします」と促すのも有効。
Step 4. 改善策の検討
最後は改善案づくり。
ChatGPTに「原因の推測」と「改善策の提案」を一気に依頼します。
改善策の抽出
以下のクレームログから、顧客が不満に思ったポイントとその原因を推測し、考えられる改善策を5つ提案してください。
-----
[ここに問い合わせテキストを挿入する]
実際に入力したプロンプト
ChatGPTの出力内容
ポイント
不満点やクレームからは、サービス改善のヒントが多く得られます。ChatGPTに“アイデア出し”を依頼することで、新たな視点を得られる場合もあります。
最終的なチェックや修正は人間が行うことを忘れずに。
以上、これだけでもあなたの頭を悩ませていた「後処理業務」の大半がサクッと完了します。もちろん最終チェックは欠かせませんが、今まで30分かかっていた作業が5分ほどに短縮されるイメージです。
3. もっと大きな成果を狙うなら、BPO事業者様の成功例をチェック
「手軽に始められるとわかったけど、うちは件数も膨大だし、もっと本格的に自動化したい…」
以下では、これまでご紹介してきたChatGPTを活用した後処理業務の自動化を一歩進め、大規模データにもスケーラブルに対応できるソリューションとしてDigestCallを導入いただいた事例をご紹介します。
コールセンターの問い合わせ件数が膨大になればなるほど、人力での文字起こし・要約・分類作業には大きなリソースが必要となり、どうしてもミスや漏れが発生しがちです。比較的少量のデータやテキストを手軽に処理する場合、ChatGPTは便利ですが、「すべての通話録音を自動テキスト化し、要点抽出や改善提案までカバーする」というレベルになると、より専門性の高いシステムが求められます。
そうした課題を解決すべく、DigestCallは、大規模データをのテキスト化・要約・分類を高速に処理しつつ、クレーム分析や改善提案の作成まで自動化できるのが大きな特長です。すでにBPO事業者様で、劇的な効率化と付加価値アップを実現されています。
3-1. BPO事業者様が抱えていた課題
あるBPO事業者様では、コールセンターをクライアント企業向けに提供しており、クライアントへのレポート作成には毎回膨大な時間と労力がかかっていました。具体的には、
問い合わせ音声の書き起こし・要約を人手で実施
クレーム内容を基にした改善提案を練るためにも、都度ヒアリングと文章化が必要。結果として常時、大きな工数負担とコストが発生していたのです。
また、クレームを分析・可視化して追加提案を行えば、受託単価の向上につながると分かってはいるものの、人的リソース不足がボトルネックで実行しきれない状況でした。
3-2. 打ち手:DigestCallの導入で実現したこと
この課題を解決するために、BPO事業者様ではDigestCallを導入しました。主な機能活用ポイントは以下の2つです。
音声データのテキスト化・要約作業を自動化
通話録音から直接テキスト化が行われ、要点を自動でまとめてくれるため、オペレーターの後処理業務時間が大幅に短縮。
クレーム分析からの改善提案を自動生成
自動でクレームログを集計・解析し、「ここを改善すればクレームが減るのでは」というポイントをレポート形式で吐き出し。
これによりクライアント企業への追加提案がより素早くかつ簡単に行えるようになった。
3-3. 導入効果
後処理時間が大幅に削減
テキスト化・要約の結果をそのままログとして活用し、オペレーターは内容を最小限にチェックするだけでOKに。
この結果、後処理業務にかかる時間を数十分→数分に削減。
付加価値向上
クレームを自動的に集計し、改善ポイントを提示するため、クライアントに対して迅速なフィードバック・提案が実現。
これまで分析に割けなかったリソースを創出することで、実際に追加提案が採用され、受託単価アップにつながる例も発生。
オペレーターの労力が減るだけでなく、顧客満足度やクライアント満足度の向上にも直結。まさに「負担減×売上増」という理想的な成果が実現しています。
4. 実践する際の注意点
個人情報・機密情報の取り扱い
ChatGPTや外部ツールに機微なデータを入力する際には、必ず社内ルールや法令を遵守し、必要に応じて匿名化・マスキングの処理を行いましょう。
最終チェックは人の目で
ChatGPTの出力はあくまで“アシスタント”と捉え、最終的な正確性のチェックや判断は必ず人間が行うようにしましょう。
継続的なアップデート
企業ごとに問い合わせパターンは変化します。定期的にカテゴリを見直したり、生成された改善策の効果を検証しながらアップデートすることが大切です。
5. まとめ
今すぐ無料でできること
音声を外部ツールで文字起こし
ChatGPTに要約やカテゴリ分類、改善策作成を依頼
最終確認・修正をしてレポート化
これだけでも、従来の人力作業の時間削減が見込めます。
さらに大きなインパクトを目指すなら…
大規模な入電数に対する後処理業務のさらなる効率化や、クライアントへの付加価値提案を加速させたい場合は、専門ツールの導入を検討してみましょう。特に大量の問い合わせがある現場や、クレーム対応に多くのリソースを費やしている方には、大きな改善が期待できます。
終わりに
この記事を最後までお読みいただいたあなたには、きっと具体的なアクションがイメージできたはずです。「効率化したい」「クレームから追加提案を生み出したい」という方は、まずは無料ツール+ChatGPTで試してみてください。その上でより本格的に取り組むなら、DigestCallなど専用ツールをチェックしてみる――これが“後処理業務革命”への近道です。
ぜひ、あなたのコールセンター運営にご活用ください。まずは5分、文字起こしとChatGPTのセットでお試しを。きっと、これまでの常識がガラリと変わるはずです。
皆さまのコールセンター運営が、よりスムーズかつ生産的になることを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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