コールセンター業務を改善する方法とは?ポイントと成功事例を紹介
更新日:1月3日
コールセンターは企業と顧客を直接つなぐ重要な窓口です。オペレーターの応対品質や対応スピードは、顧客満足度や売上、さらには企業ブランドのイメージに大きく影響します。
しかし、日々の業務や運営方法を改善しようとしても、「どこから手をつければ良いのかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、コールセンター業務の課題や改善のポイント、さらには成功事例をご紹介します。
目次
コールセンター業務における課題とは?
コールセンター業務改善における5つのポイント
業務改善における成功事例
まとめ
1. コールセンター業務における課題とは?
コールセンター業務にはどのような課題があるのでしょうか?
代表的なものを紹介します。
1-1. 顧客満足度の向上
顧客満足度(CS: Customer Satisfaction)とは、顧客がコールセンターへ電話をしてオペレーターに対応してもらい、どの程度の満足度を得られたか、ということを表した指標です。
メールやチャット、SNSなどが広まったことにより、電話以外のチャネルにも対応が求められています。それにより、業務が複雑化し、オペレーターの負荷が増大しています。チャネルごとにトークスクリプトを用意したり、業務分担するなどの対応をしないままでは、保留時間が長くなってしまったりなど、オペレーターの応対に不足が出てしまいます。
電話をかけたのに、長時間待たされたり、違う担当者にまた説明したり、回答が適切ではなかったりすると不満を感じませんか?
コールセンターは「素早く正確な回答が得られる場所」という印象を与えることが重要で、逆に不適切な対応や長時間保留は顧客満足度を大きく損ねる原因になります。
1-2. 離職率の高さ
コールセンターの抱える大きな課題の一つとして、オペレーター不足があげられます。スキルの高いオペレーターを育成しようとしても、その途中で退職してしまうオペレーターは少なくありません。そのため、コールセンターの品質が向上せず、企業にとって大きなマイナスになると言えます。
オペレーターの離職率は、他業種に比べて非常に高いといわれており、離職者が出るたびに人材採用や教育のコストがかかってしまいます。離職率を低下させることは、コールセンターにとって重要な課題と言えます。
1-3. 応対品質の均一化
離職率の高さは、オペレーター一人ひとりの経験値やスキルレベルにばらつきが生じ、業務の属人化などの原因になります。特にトークスクリプトやマニュアルが不十分だった場合、応対時間が長すぎたり、説明に不足があったりと顧客が不信感を覚えてしまいかねません。
インターネット・SNSの普及により、企業に対する意見は気軽に書き込めたり、拡散したりできるようになりました。なかにはよい情報だけではなくネガティブな意見も多くみられます。
顧客の不安感や不信感を防ぐためにも、誰が対応しても同等の品質を維持できるマニュアルや研修プログラムの整備は欠かせません。
2. コールセンター業務改善における5つのポイント
では、コールセンター業務を改善するにはどうすればいいのでしょうか?
ここでは5つのポイントを紹介します。
2-1. 課題を洗い出す
まずは、抱えている課題を把握しましょう。何が問題なのか、改善の方向性は何なのかを明確にすることが大事です。
課題の洗い出しには、いくつか方法があります。
課題の洗い出し方法①:KPIの設定・管理
KPI (Key Performance Indicator)とは、設定した目標を達成する上で、その実行度合や進捗を計測・評価するための指標のことです。日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれています。
「顧客満足度を○%まで向上させる」
「応対品質を平均○点まで引き上げる」
「初回解決率を○%まで改善する」
といった目標を設定し、定期的に数値をチェックしましょう。
KPIを追跡することで、業務プロセスのどこに無駄があるのか、どの施策が効果的なのかを客観的に把握できます。
課題の洗い出し方法②:問い合わせ内容を可視化する
課題を洗い出す有効的な方法としてVOC分析があります。
VOC(Voice of customer=お客様の声)を分析することで、問い合わせ内容を可視化し優先的に取り組むべき課題を見つけ出すことができます。
VOCを収集する方法には、
SNS|数は多いがやや信憑性に欠ける
問い合わせフォーム|既に文章化されているため解析しやすい
コールセンター|顧客発信で重要度が高い
インタビュー|信頼できる・掘り下げられる
アンケート|匿名性が高く本音を書きやすい
があります。これらのチャネルから集まった顧客の声(VOC)を可視化することで、頻出するクレームや要望を把握しやすくなります。
中でも、コールセンターに寄せられた問い合わせは、顧客が「わざわざ」連絡してくるため重要度が高い傾向があり、企業としては優先的に取り組むべき課題を見つけやすい情報源であるといえます。
VOC分析により、商品改良やFAQの整備などのヒントを得られ、結果的に顧客満足度アップやコール件数削減にもつながります。
2-2. 改善目標の設定
課題を洗い出したら、改善目標の設定をしましょう。各KPI項目に対し目標値を設定することで、その業務に携わる人が明確な方向性を持って行動しやすくなります。また、成果が出たかがわかりやすくなるため、新たな課題の発掘にも役立てることができます。
2-3. 運用体制を見直す
設定した目標に対し、運用体制がきちんと整っているのかを確認しましょう。
運用体制ポイント①:マニュアル・トークスクリプトの見直し
チャネルの多様化や商品の更新が進む中で、マニュアルやトークスクリプトが古いままになっていませんか?
また、新商品の情報が更新されていないなどの不備がないかを確認することも大事です。
新人のオペレーターでも問題なく業務できるかどうかを確認しながらマニュアルを作成・更新することで、業務の効率化に繋げられます。マニュアルやトークスクリプトは必ず定期的に見直し、アップデートするようにしましょう。
運用体制ポイント②:教育内容の見直し
コールセンターの業務では、基本的な電話のマナーだけではなく、 顧客の質問にスムーズに答えられるよう自社のサービスや商品についての知識が求められます。新しい商品などが出れば、当然マニュアルや対応の仕方も更新されるため、それらを覚えなければいけません。
これらを定期的に研修やOJTでカバーする仕組みづくりが重要です。教育体制が整っていないと新人オペレーターの離職率をさらに高める原因にもなるため、研修プログラムは定期的にアップデートし、その効果を検証しましょう。
2-4. 人材配置の見直し
「人手不足=単に人を増やす」ではなく、問い合わせが集中する曜日・時間帯、オペレーターの配置・休憩時間などを洗い出し、適正なシフトを組むことが大切です。業務後処理の時間も考慮し、余裕をもった配置にすることで、コールセンター全体の応対品質が向上します。
2-5. 最新システムの導入
①チャットボットの導入
コールセンター業務を改善する方法として、チャットボットを導入する方法があります。チャットボットとは、AIやシナリオなどを活用し、会話を自動的に行うプログラムのことです。
Webサイト上にチャットボットを設置することで24時間365日体制での顧客対応が可能になるため、顧客が時間を気にすることなく、営業時間外に気軽に問い合わせをすることができるようになります。
また、よくある質問をチャットボットで対応することで、顧客が自己解決できる環境を提供できるようになります。この結果、顧客は「問い合わせの電話をする」という負担が減り、コールセンターは、入電数が減少し、1件1件への対応をより丁寧にできるようになり顧客満足度の向上へと繋げることが可能になります。
①音声認識システムの導入
コールセンターでは電話対応が主流のため、AIによる音声認識技術が注目されています。
音声認識とは、人が発した言葉や声、会話をAIが解析し、その音声データをテキストデータへと変換する技術のことです。
通話内容をテキスト化することができるため、電話対応のモニタリングがしやすくなり、管理者がオペレーターの育成に活かしたり、オペレーター支援を目的をした音声認識AIを取り入ることで、電話対応中に音声データをテキスト化し、会話内容をもとに最適なFAQを表示させたりできるため、業務をスムーズに進めることができるようになります。
また、音声認識により音声データをテキスト化することで、より高度なデータ解析が可能になったことも大きな注目点です。
「なぜ問い合わせが増えているのか」
「どのようなクレームが最も多いのか」
をより明確にし、分析・対応することで問い合わせ自体を減らすことができ、1件1件の問い合わせにオペレーターが余裕をもって対応できるようになるため、応対品質や顧客満足度の向上へと繋げることができます。
3. 業務改善における成功事例
コールセンターで業務効率を改善できた事例を紹介します。
成功事例①:チャットボット導入による “よくある問い合わせ” の削減(PC製造・販売業)
リモートワークの普及により、新規顧客層からの問い合わせが急増。そこでコールセンターの負担を軽減するため、AIチャットボットを導入して24時間サポートを実現しました。
あわせて、FAQデータベースを整備し、よくある質問を初期表示する仕組みにしたところ、ユーザーの自己解決率が向上し、結果としてオペレーターの問い合わせ負担を大幅に削減できました。
成功事例②:音声認識AIの分析で問い合わせ件数を削減(金融業)
通話内容のテキスト化とデータ解析により、
なぜ特定の時期に電話が増えるのか
どのような質問・クレームが多いのか
を可視化。
分析結果をもとにFAQやマニュアルをアップデートしたことで、重複問い合わせの件数が減少し、応対品質のバラつきも軽減されました。
「オペレーターによって回答が違う」という不満も解消し、ブランドイメージの向上にまでつながっています。
4. まとめ
コールセンターで成果を出すためには、現状の課題を正確に把握し、具体的なKPIや目標を設定し、それに合わせた運用体制を整備することが不可欠です。また、チャットボットや音声認識システムなどの最新技術を活用すると、オペレーターの業務負荷を減らしながら顧客満足度の向上を両立できます。
重要なポイント
KPIの設定・管理で問題箇所を見える化
マニュアルと研修プログラムの継続的な見直し
問い合わせデータ(VOC)を分析し優先度の高い課題から手を打つ
最新のシステム導入で人手不足と品質向上を同時に実現
アイビーデータでは、電話の通話内容を自動でテキスト化し、VOC分析やコンサルティングまで一括でご提供しています。
「音声認識システムを導入してコールセンターを効率化したい」「導入後の運用がイメージしづらい」といったお悩みがあれば、ぜひ下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
コールセンター関連の相談はこちらの問い合わせフォームからいつでも承っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コールセンターの効率化を検討の際は、ぜひご活用ください。
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